在宅介護の始め方とは?最初にすべきことを解説

在宅介護を始めるとき、最初にすべきことは「お住まいの市区町村の地域包括支援センターに相談し、要介護認定を申請すること」です。ここを飛ばして自己流で介護を抱え込むと、使える公的サービスを知らないまま家族が疲弊してしまう、というのが正直なところよくあるパターンです。認定を受ければ、要支援1から要介護5までの区分に応じて月およそ5万円〜36万円分の介護サービスを、原則1〜3割の自己負担で利用できます。まずは制度の入口に立つこと。これが在宅介護のスタートラインです。

この記事のポイント

  • 在宅介護の第一歩は「地域包括支援センターへの相談」と「要介護認定の申請」
  • 要介護認定は申請から結果通知まで原則30日程度、認定区分で使えるサービス量が決まる
  • ケアマネジャーと作るケアプランが在宅介護の設計図になる
  • 費用は自己負担1〜3割が基本。住宅改修や福祉用具にも補助がある
  • 家族だけで抱え込まず、早めに専門の相談窓口を使うことが長続きのコツ
目次

在宅介護とは何か、まず全体像を知る

在宅介護とは、施設に入らず自宅で生活を続けながら、必要な介護や支援を受ける形のことです。ご本人が住み慣れた家で過ごせる安心感は大きい一方で、家族の負担が特定の一人に集中しやすいという難しさもあります。実際、主な介護者の続柄は配偶者や子ども、子の配偶者が中心で、「一人が抱え込む」構図になりやすいことが各種調査でも指摘されています。だからこそ、最初に「どんな制度と人が支えてくれるのか」という地図を持っておくことが大切です。

実は在宅介護は、家族だけで完結させるものではありません。ケアマネジャー、訪問介護のヘルパー、デイサービス、訪問看護、福祉用具の事業者など、たくさんの専門職がチームで関わります。この仕組みを介護保険制度が支えています。

在宅介護と施設介護のちがい

在宅介護は自宅を拠点に外部サービスを組み合わせる形、施設介護は入居して24時間体制の支援を受ける形です。費用感でいうと、在宅は使ったサービス分の自己負担(月数千円〜数万円が目安)、施設は特別養護老人ホームで月8万〜15万円、有料老人ホームで月15万〜30万円ほどが一般的な相場です。ただしこれは地域や要介護度、居室のタイプ(相部屋か個室か)で大きく変わりますので、あくまで目安として捉え、詳しくは自治体や事業者に確認してください。

ケースによりますが、「まだ自宅で頑張れる」段階なら在宅、「夜間の見守りや医療的ケアが常時必要」になってきたら施設、という判断が現場では多い印象です。実際には在宅と施設のどちらか一方ではなく、デイサービスやショートステイを併用しながら、少しずつ比重を移していく方も少なくありません。

支える公的制度の柱は介護保険

40歳以上の方が納めている介護保険料が、在宅介護の費用の7〜9割を支えています。原則65歳以上で要介護・要支援の認定を受けた方、または40〜64歳で末期がんや関節リウマチなど特定の16疾病に該当する方が対象です。この制度を使えるかどうかで、家計への負担はまったく変わってきます。なお自己負担の割合は一律ではなく、本人や世帯の所得に応じて1割・2割・3割に分かれる点も知っておくとよいでしょう。

早めに動くほど選択肢が広がる

よくあるのが、「まだ大丈夫」と様子を見ているうちに、転倒による骨折や肺炎での入院をきっかけに、退院時には一気に介護が必要になっているケースです。認定申請には結果が出るまで時間がかかりますから、「少し不安を感じ始めた」段階、たとえば買い物や薬の管理に不安が出てきた頃に相談しておくと、いざという時に慌てずに済みます。相談だけなら費用も義務も生じませんので、早すぎるということはありません。

在宅介護の始め方、具体的な5つの手順

ここからは、実際に何をどの順番で進めればよいのかを具体的に見ていきます。大きく分けると5つのステップです。

ステップ1〜2 相談と要介護認定の申請

まず最初の窓口が地域包括支援センターです。中学校区に1つほど設置されている、高齢者の総合相談窓口で、相談は無料です。ここで状況を話すと、要介護認定の申請手続きを案内してもらえます。本人が窓口に行けない場合は、家族や地域包括支援センターが代行して申請することもできます。

申請には介護保険被保険者証(65歳以上の方に交付されている証書)などが必要です。申請後、認定調査員が自宅を訪れて心身の状態を約74項目でチェックし、主治医の意見書とあわせて審査されます。結果通知までは原則30日程度。認定区分は非該当・要支援1〜2・要介護1〜5の8段階に分かれ、この区分で1か月に使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)が決まります。調査当日は、普段より頑張って元気に振る舞ってしまい実態より軽く判定される、というのがよくある落とし穴です。できるだけありのままの状態を伝え、困りごとをメモして立ち会う家族が補足すると安心です。

ステップ3〜4 ケアマネジャー選びとケアプラン作成

認定が出たら、次はケアマネジャー(介護支援専門員)を決めます。要介護1以上なら居宅介護支援事業所のケアマネ、要支援なら地域包括支援センターが担当します。ケアマネ選びは在宅介護の要です。相性が合わないと感じたら途中で変更もできますので、遠慮しすぎないことも大切です。地域包括支援センターで複数の事業所を紹介してもらい、連絡の取りやすさや対応の丁寧さで選ぶとよいでしょう。

ケアマネジャーは、ご本人と家族の希望を聞きながら「ケアプラン(介護サービス計画)」を作ります。これが在宅介護の設計図です。週に何回デイサービスに通うか、訪問介護をいつ入れるか、福祉用具を借りるか——生活の組み立てをここで決めていきます。ケアプラン作成の費用は全額が介護保険でまかなわれ、自己負担はありません。「家族が何を負担に感じているか」まで率直に伝えておくと、休息を組み込んだ現実的なプランになりやすいです。

ステップ5 サービス利用開始、そして住環境の整備

プランが固まればサービス事業者と契約し、いよいよ利用開始です。同時に考えたいのが住まいの安全です。手すりの設置や段差解消、滑り止め、引き戸への交換などの住宅改修には上限20万円まで(自己負担1〜3割)の補助があり、車いすや介護ベッドなどの福祉用具レンタルにも保険が使えます。改修は原則として工事前の申請が必要なので、着工前に必ずケアマネに相談してください。

正直なところ、ここでつまずく方が多いのが「よくある失敗」です。たとえば、家族が良かれと思って何でも手伝いすぎて、ご本人の残っている力まで奪ってしまう。あるいは、介護する家族が休みを取らず限界まで頑張り、共倒れになってしまう。ショートステイ(短期入所)などを計画的に使い、介護する側の休息(レスパイト)を確保することが、在宅介護を長続きさせる何よりのコツです。介護は数か月で終わるとは限らず、数年単位で続くことも珍しくありません。だからこそ「頑張りすぎない仕組み」をはじめに組み込んでおくことが、結果としてご本人のためにもなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 在宅介護の費用は毎月どのくらいかかりますか

A1. 使うサービス量と要介護度によりますが、自己負担1割の方で月数千円〜3万円台が一つの目安です。おむつ代や食費などの実費は別にかかります。区分支給限度額を超えた分は全額自己負担になります。負担が重い場合は高額介護サービス費という払い戻しの仕組みもあるため、自治体に確認してみてください。

Q2. 要介護認定の結果が出るまで待つしかないですか

A2. いいえ、申請日にさかのぼってサービスを使えるため、認定前でも暫定ケアプランで利用開始が可能です。ただし想定より軽い区分になると自己負担が増える可能性があるので、ケアマネと相談して進めましょう。

Q3. 仕事をしながらでも在宅介護はできますか

A3. できます。デイサービスや訪問介護を組み合わせれば日中の見守りを外部に任せられます。加えて、介護休業(対象家族1人につき通算93日まで)や介護休暇の制度も勤務先で使えるか確認しておくと安心です。

Q4. 家族が遠方に住んでいても在宅介護は可能ですか

A4. 可能ですが、ケアマネや近隣の見守り、緊急通報システムなどの体制づくりが前提になります。遠距離介護では月1〜2回の帰省交通費もかさむため、費用面も含めて早めに設計しておくとよいでしょう。

Q5. 認知症があっても在宅で介護できますか

A5. 症状の程度によりますが、認知症対応のデイサービスや訪問介護を使えば在宅継続は十分可能です。ただし徘徊や昼夜逆転が強まると家族の負担が大きくなるため、その段階でケアマネや専門医に相談してください。

Q6. どうしても在宅が難しくなったらどうすればいいですか

A6. 無理をせず施設への切り替えを検討してください。特別養護老人ホームは要介護3以上が原則で、地域によっては入居まで数か月〜年単位の待機がある一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅なら比較的早く入れる場合があります。

Q7. 相談は何から始めればいいか分かりません

A7. まずはお住まいの地域包括支援センターへ。それでも「どこに何を聞けばいいか分からない」ときは、施設紹介から制度・お金の相談までまとめて対応できる福祉の相談窓口を頼るのも一つの方法です。

まとめ

  • 在宅介護の第一歩は地域包括支援センターへの相談と要介護認定の申請
  • 認定結果(要支援1〜要介護5)で使えるサービス量と自己負担が決まる
  • ケアマネジャーと作るケアプランが在宅介護の設計図になる
  • 費用は自己負担1〜3割が基本。住宅改修や福祉用具の補助も活用できる
  • 家族だけで抱え込まず、ショートステイなどで休息を確保することが長続きの鍵

在宅介護は、制度と専門職をうまく使えば、決して家族だけで背負うものではありません。とはいえ「認定はどこで申請するの」「うちの場合はどのサービスが合うの」「お金はいくら必要なの」——最初は分からないことだらけで当然です。誰に、どこに相談すればいいか迷ったときは、介護・施設・お金・制度の相談をまとめて受けられる福祉のまどぐちに、まずは気軽にお声がけください。最初の一歩を、一緒に整理するところからお手伝いします。

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