介護職の採用がうまくいかない理由とは?改善策を解説

介護職の採用がうまくいかない理由は、給与や待遇だけの問題ではありません。結論から言うと、うまくいかない事業所の多くは「求人票の内容が薄い」「応募から面接までの対応が遅い」「入職後の定着支援がない」という3点でつまずいています。特に応募者への初動対応は、24時間以内に連絡できるかどうかで採用率が体感で2〜3割変わると言われるほど重要です。実際、応募当日に連絡があった事業所と、3日後に連絡があった事業所とでは、面接まで進む割合がまったく違ってきます。逆に言えば、この3点を整えるだけで、大きな広告費をかけなくても採用は改善します。まずは今出している求人票を、応募者の目線で読み直すところから始めてみてください。

この記事のポイント

  • 採用難の本当の原因は「待遇」より「見せ方」と「対応スピード」にある
  • 求人票は仕事内容・1日の流れ・職場の雰囲気を具体的に書くと応募が増える
  • 応募後の連絡は当日〜翌日が理想。放置は最大の機会損失
  • 定着まで含めて設計しないと「採っても辞める」悪循環になる
  • 自事業所だけで抱え込まず、外部の採用支援や紹介窓口を使う手もある
目次

介護職の採用が難しい本当の理由

介護業界の有効求人倍率は、全職種平均を大きく上回る水準が続いています。時期や地域によりますが、介護関連職種は3〜4倍前後で推移することも珍しくなく、都市部ではさらに高くなる傾向があります。全職種平均がおおむね1倍台前半であることを考えると、いかに買い手ではなく「売り手(求職者)市場」になっているかが分かります。正直なところ「募集を出せば人が来る」時代はとうに終わっています。ただ、ここで多くの事業所が誤解しているのが、「人が来ないのは給料が安いからだ」と考えてしまうことです。

もちろん待遇は大切です。でも実際に応募者にアンケートを取ると、職場を選ぶ理由の上位には「人間関係」「シフトの融通」「教育体制」といった、お金以外の要素が並びます。たとえば同じ月給22万円でも、「残業がほぼない」「有給が取りやすい」と書かれている事業所のほうが選ばれる、というのはよくある話です。つまり、待遇だけで勝負しようとすると大手や社会福祉法人に埋もれてしまい、小規模事業所ほど不利になるのです。ここは統計の細かな数字より、自分の地域の求人サイトを一度眺めて、競合がどう見せているかを確認するほうが実感がつかめます。

「募集しても応募が来ない」の正体

よくあるのが、求人票に「未経験歓迎・アットホームな職場です」としか書いていないケースです。これでは応募者は何も判断できません。「アットホーム」は、どの事業所も使う言葉なので、もはや何の情報にもなっていないのが実情です。実は応募者は、給与の数字よりも「自分がそこで働く姿がイメージできるか」を見ています。1日のスケジュール、夜勤の回数、利用者さんの平均介護度(要介護3が中心なのか、自立度の高い方が多いのか)、教育担当の有無。こうした具体情報がない求人は、そもそも読み飛ばされてしまいます。逆に、朝の申し送りから始まる1日の流れが目に浮かぶように書かれていれば、それだけで応募のハードルはぐっと下がります。

「採ってもすぐ辞める」の正体

もう一つの根深い問題が早期離職です。介護職の離職者のうち、勤続3年未満で辞める人が半数以上を占めるというデータもあり、なかでも入職から1年以内の離職が目立ちます。入職後の3か月をどう支えるかで、その後の定着はほぼ決まると言ってよいでしょう。ケースによりますが、初日から一人で現場に放り込む、質問しづらい雰囲気がある、記録の書き方を教わらないまま任される、といった職場は高確率で辞められます。「聞ける人がいなかった」という理由での退職は、本当に多いのです。採用にかけた広告費や紹介手数料が数十万円だったとしても、3か月で辞められれば丸ごと無駄になります。だからこそ、採用と定着はセットで考える必要があるのです。

採用を改善する具体的な方法

ここからは、明日から手をつけられる改善策を順番に見ていきます。特別な予算がなくてもできることばかりです。優先順位をつけるなら、費用がかからず効果が出やすい「求人票」と「初動対応」から着手するのがおすすめです。

求人票を「働く姿が浮かぶ」内容に書き直す

まず着手すべきは求人票の作り直しです。給与レンジは「月給20万〜26万円」のように幅を持たせて必ず明記し、賞与や処遇改善加算の支給実績も「昨年度賞与2.5か月分」のように具体的な金額や月数で示しましょう。処遇改善加算は多くの事業所が算定していますが、実際にいくら手当として支給されているかを書いている求人は意外と少なく、ここを明記するだけで差がつきます。そのうえで、1日のタイムスケジュール、夜勤の頻度(月4〜5回など)と手当の額、休憩の取り方、教育の流れを書きます。写真があれば、施設の外観より「働くスタッフの表情」が伝わる一枚を入れると反応が変わります。なお、加算の要件や表記のルールは改定されることがあるため、記載内容に迷ったら自治体や社会保険労務士など専門家に確認しておくと安心です。

応募後の初動を最優先にする

実は、これが一番効果が出やすいポイントです。応募者は複数の事業所に同時に応募しています。連絡が翌々日になれば、その間に他社で面接が決まってしまう。理想は当日、遅くとも翌日中の連絡です。電話がつながらなければショートメールでも構いません。「◯◯(施設名)です。ご応募ありがとうございます。ご都合のよい面接日をお知らせください」という一文だけでも十分です。「見てくれている」という安心感が、面接来場率を確実に押し上げます。担当者が一人だと対応が遅れがちなので、応募通知が複数人に届く設定にしておく、といった仕組みづくりも効果的です。

採用チャネルを一本に頼らない

ハローワークだけ、有料媒体だけ、という状態は危険です。費用感の目安として、介護職の採用一人あたりの紹介手数料は年収の20〜30%程度、年収300万円なら60万〜90万円ほどかかることもあります。有料の求人媒体でも、掲載プランによっては数万〜数十万円が必要です。一方でリファラル(職員の紹介)や、地域の福祉ネットワーク経由の採用はコストを抑えやすく、しかも「知り合いの紹介」という安心感から定着しやすい傾向があります。複数のチャネルを併用し、どこからの応募が定着しているかを記録しておくと、翌年の採用計画が立てやすくなります。「昨年はリファラルからの3人が全員残っている」といった記録が、次の予算配分の根拠になります。

よくある失敗

正直なところ、失敗の多くは「面接で見極めようとしすぎる」ことにあります。人手不足の中で厳しく落としていては、いつまでも埋まりません。スキルは入職後に伸ばせますが、価値観の相性は変えにくい。だからこそ、選考では「なぜ介護の仕事をしたいのか」を丁寧に聞き、育てる前提で採る姿勢が結果的に定着率を高めます。もう一つありがちなのが、面接日を1週間先に設定してしまうこと。せっかく来てくれた応募者の熱が冷めてしまうので、可能なら3日以内に設定したいところです。ただし、育てる前提とはいえ、利用者の安全に関わる仕事である以上、最低限の健康状態や勤務可能日数の確認は省かないようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 採用にかかる費用の相場はどのくらいですか?

A1. 有料媒体で数万〜数十万円、人材紹介だと年収の20〜30%(年収300万円なら60万〜90万円ほど)が一般的です。無料のハローワークやリファラルを組み合わせると、平均コストは大きく下げられます。金額は媒体や地域で変わるため、複数社から見積もりを取って比較するのがおすすめです。

Q2. 未経験者を採用しても大丈夫ですか?

A2. 問題ありません。実際、介護職の入職者の多くは他業種からの転職者です。ただし入職後3か月の教育体制が整っていることが前提で、そこが弱いと早期離職につながります。無資格からでも、働きながら介護職員初任者研修を取得してもらう流れをつくると、定着と戦力化を両立しやすくなります。

Q3. 応募がまったく来ないときは何から見直すべきですか?

A3. まず求人票です。給与の明記、1日の流れ、教育体制の3点が書かれているか確認してください。それでも来ない場合は掲載媒体とエリア設定(通勤圏の範囲)を見直します。競合の求人票と並べて読み比べ、自事業所だけにしかない魅力が伝わっているかもチェックしましょう。

Q4. 若い人材を採るにはどうすればいいですか?

A4. シフトの柔軟性とキャリアパスの提示が効きます。資格取得支援や、リーダー職・サービス提供責任者への道筋を具体的に示すと、20〜30代の応募が増える傾向があります。SNSや動画で職場の雰囲気を見せる工夫も、若い層には響きやすいです。

Q5. せっかく採用してもすぐ辞めてしまいます。

A5. 入職後3か月の伴走が鍵です。教育担当(プリセプター)を1人つけ、週1回の面談で不安を拾うだけでも、離職率は目に見えて下がります。「何が分からないか分からない」時期を支える意識で、こまめに声をかけてあげてください。

Q6. 小規模事業所でも大手に勝てますか?

A6. 勝てます。むしろ「顔が見える距離感」「意見が通りやすい」「管理者との距離が近い」は小規模の強みです。待遇で張り合うより、人間関係や働きやすさを前面に出すほうが響きます。一人ひとりに合わせた柔軟なシフトも、大手には真似しにくい武器になります。

Q7. 外国人材の採用は検討すべきですか?

A7. 選択肢として有効です。技能実習や特定技能など複数の受け入れ制度があり、それぞれ在留資格や受け入れ体制、日本語教育の準備が異なります。制度は改正されることも多いため、必ず登録支援機関や自治体、専門機関に確認してから進めてください。

まとめ

  • 採用難の原因は待遇だけでなく「求人票の見せ方」と「応募後の対応スピード」にある
  • 求人票は給与・1日の流れ・教育体制を具体的に書くと応募が増える
  • 応募者への連絡は当日〜翌日が理想で、放置は最大の機会損失
  • 採用は定着とセット。入職後3か月の伴走が離職を防ぐ
  • チャネルは一本に頼らず、コストと定着の両面で組み合わせる

採用は、やり方を少し変えるだけで確実に変わります。とはいえ現場を回しながら求人設計や定着支援まで手を広げるのは、正直かなりの負担です。人材が集まらない、採っても続かない、そもそも何から手をつければいいか分からない——そんなときは、一人で抱え込まずに「福祉のまどぐち」にまずご相談ください。介護士人材の確保から事業所の運営支援まで、福祉の相談窓口として、あなたの事業所に合った一歩を一緒に考えます。

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